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住宅 VOL.52(2003年10月)に掲載の「コレクティブハウジング社の事業」について

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資料室

住宅 VOL.52(2003年10月)に掲載の「コレクティブハウジング社の事業」について

  • 2021.10.31 資料室

https://chc.or.jp/user/news/84/a7xmg5h6hqs0txpv23z8i_6zuctfi7cv.pdf
一般社団法人)日本住宅協会の機関紙「住宅Vol.25 ,2003年10月」に掲載。

2003年、かんかん森の入居も始まってすぐの頃に書いた『コレクティブハウジング社の事業』という記事は、この号の特集が「NPOによる住宅事業の可能性」ということで、依頼があったのだと思う。CHCがNPO法人として活動するきっかけとなった「かんかん森」の事業と最初のタウンコレクティブともいえる「松蔭コモンズ」の事業について書いたものである。

当時はNPO法が制定(1998年)されて数年で、市民社会や市民が活動するということに、期待が大きく膨らんでいたが、特定非営利活動法人というものの実態は日本ではまだまだ未知であった。

再び記事を読んでみて、当時のかんかん森の事業推進の厳しかったことをいろいろと思い出した。かんかん森は日本で初めてのコレクティブハウジング事業であり、NPOとなったCHCとしても初めての事業で、私も事業責任者として初めて担当するものであった。
そのため、私は会社を辞めて独立し、覚悟を持ってこの仕事の専従者として取り組んだつもりだったが、資本金があるわけでもなく、社員がいるわけでもなく、NPOも寄せ集まったメンバーによる組織であり、共に新しい暮らしの場を作りたいという意志はあっても自分の専業を持っているメンバーがボランタリーに参加し、専門性も技量もさまざまで、それをまとめつつ、相手のある実際の事業を進めることは本当に厳しいことであった。

経営ということを、私たち自身もあまりリアルに考えていなかったことは読んでの通りだが、NPOの経営についてまだ理解が浅かったこともあるが、言い訳としては
「CHづくりのために何をすべきかが未知であった」ために、業務委託契約をすることは容易ではなかった。
当時、NPOのための法律はNPO法があるだけで、その他の政策や補助金なども何もなかったが、22年経った現在でもほとんど整備されてないことは、大きな問題である。
市民が社会に寄与するという機運は上がっても、善意に頼るというだけでは脆弱な経営基盤のNPOが非常に多くなり、持続可能な活動となることは難しい。
また、この文章で、問題点と課題とした事柄は、今も全く改善されていないことに改めて愕然とした。
CHCは、この事業を行ったことで、コレクティブハウスづくりの様々な手法や事業推進プロセスを確立できたことが今に繋がっているが、居住者が参加するというコレクティブハウジングの事業モデルは日本の住宅事業のなかでは依然として特殊なままである。
テナントデモクラシーと言われるような、居住者が主体となり、暮らしの場を作っていける仕組みや、住宅困窮者のためのアフォーダブルな住宅供給などを、非営利住宅組合とか非営利住宅協会のような組織によって行なっている海外の住宅供給事業の仕組みを日本でもつくることを、改めて事業主や居住者とも共同して進めていく必要があると声を大きくしてうったえていきたいと思う。格差社会の中で、居住支援事業などを通しても、住宅は単に自己責任の範疇においてはならず、基本的人権を保証する生活基盤であることは明白な事実となっているとおもう。

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