入居者とオーナーが共に作りあげる賃貸事業
 学生、会社員、シングルマザー、高齢者。さまざまな入居者が生活を共にするコレクティブハウスは、リビングなどの共用スペースがありながら、各戸にもキッチン、トイレ、浴室などの設備を持つのがシェアハウスとの違いだ。「お金で買えない安心」「隣人とのコミュニケーション」「1人になれても孤立しない暮らし」。この3つのコンセプトを柱に、コレクティブハウスを賃貸住宅事業として企画・運営サポートを行うNPO法人コレクティブハウジング社(東京都目黒区、以下、CHC)は、これまで東京都内で4つのコレクティブハウスをオープンしてきた。
 CHCが提案するのは「貸す人・借りる人・サポートする人」の3者が共同で行う賃貸事業だ。CHCではまず、コレクティブハウスに入居を希望する「居住希望者」を募り、どのような場所に住み、暮らしたいかをヒアリング。建物の管理や運営の仕方までを話し合い、入居後の暮らし方を計画する。その一方で、所有する物件や土地をコレクティブハウスとして運営したいオーナーを募集。建物の設計段階から3者が合同で参画し、運営方針を共有しながら理想の暮らしを形作っていく。
 入居開始後は建物の清掃、修繕など、一般的な賃貸住宅で管理会社が担う部分を入居者が自主的に行うことで、オーナーにとっては管理費を抑えられるのがメリット。また、入居者はCHCが募るため、広告料・仲介手数料も不要となる。現在、50人ほどの入居待ちが出ている状況だ。
 2009年に「コレクティブハウス聖蹟」を新築した小林攻洋オーナーは「生活のプロセスを入居者自らが作ることで、住まいの価値は上がっていきます」と語る。「オーナーと入居者の親密な関係のうえに、良い暮らしは成立します」(小林オーナー)。また、宮前眞理子CHC共同代表は「他人同士でも助け合える相互扶助の仕組みが生まれる場所を作りたい」と語る。
2014.04.21 全国賃貸住宅新聞


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