コレクティブハウスの暮らし大賞

第0回 コレクティブハウスの暮らし大賞発表

2020年10月、折しもCHC設立20周年を迎えるタイミングで、コレクティブハウス本町田を核とする「まちのもり本町田」が、キッズデザイン賞 「優秀賞 少子化対策担当大臣賞」を受賞しました。これを機会に、今までコレクティブハウスの暮らしの価値を育んでこられた全ての居住者と事業主の皆さま、コレクティブハウジングの普及を支えてきてくださった皆さま、CHCメンバーと喜びを分かち合い、未来に向けてメッセージを発信するために「コレクティブハウスの暮らし大賞」を立ち上げました。

今回はお試し企画第0回として小規模な募集としました。以下、概要です。

 

テーマ  子どもがいるコレクティブハウスの暮らし
募集期間 2020年10月3日~11月7日
作品募集範囲

スガモフラット、コレクティブハウス聖蹟、コレクティブハウス大泉学園の居住者及び元居住者

応募総数

○写真部門(19作品)

○文章・エッセイ部門(6作品)

○絵画部門 (1作品) 

審査方法

応募者の名前を伏せた状態で、CHかんかん森、スガモフラット、CH聖蹟、CH大泉学園、CH元総社コモンズ、CH本町田、エコダハウス、TC南小岩の居住者・元居住者ならび、外部審査員5名によるWebフォームでの投票(投票期間11月21日~11月30日、投票者総数44人)の結果を受け、CHC監事2名及び正会員2名の計4名で最終審査会を開催し、大賞及び部門賞を決定。加えて、外部審査員である「らぶ♡ふぁみ」さんに特別賞「らぶ♡ふぁみ賞」を選んでいただきました。
※「らぶ♡ふぁみ」は、町田で子育てをしている全てのファミリーの生活やお出かけを楽しく、便利にするためのフリーマガジンです。






【大賞】文章・エッセイ部門004
「花火の夜のスープカレー」

コレクティブハウス聖蹟 江藤由貴子さん

 十一月七日の夜のことです。
 日が暮れて間もない五時半ちょっと前、「極秘情報」と前置きをしたメールが届きました。コレクティブハウス聖蹟の居住者全員に届くメール宛てに「今から十分後に花火が上がります。ハウスの屋上からは見えません。いろは坂に見に行く方は今すぐ集合してください」と。
 突然だったので、集まったのはメールをくれたTさんと私、それにハウスの子供たちが四人だけでした。車の多い道を行くので、私は五歳の子供二人と手をつなぎ、歩き始めました。 
 私は今年の夏に越してきたばかりの五十五歳の女性です。独身で一人暮らし、もう何年も花火なんて見に行くこともありませんでした。いつも遠くの花火の音を聞きながら、部屋の中でひとりぼっちでいたのに、子供と手をつないで花火を見に行くだなんて、なんだか信じられませんでした。
「わあ、花火だ!」「すごいすごい!」
 密を避けるために予告なしで上げられた花火をみんなで見て、一緒に大声を出し、はしゃぐ。たった数分のことでしたが、数ヶ月前までの一人暮らしでは決して味わえない、とても豊かな時間でした。大きな花火が上がると、「わっ、こっちに来る!」と感受性の豊かなSちゃんがぎゅっと手を握りしめるので、写真を撮ることはできませんでしたが、写真より、私の手を握ってくれる子供の存在が嬉しかった。(写真は後でTさんが送ってくれました)私には子供はいませんし、子供と一緒に暮らすことが自分の人生に起こるなんて、想像もしていませんでしたから。
 部屋に戻り、ぼんやり花火の余韻に浸っていると、突然ピンポンピンポンと、けたたましく呼び鈴が鳴りました。扉を開けると、さっきまで一緒にいた五歳のHちゃんが立っていました。
「ちょっと来て」

 なんだか切羽詰まった顔をしているので、どうしたの、と訊くと、「お父さんを手伝って」と訴えます。「お父さんがひとりでミールを作ってて、さっきみんなに手伝ってってメールをしたんだけど、誰も来ないの。お父さん困ってるから、助けてほしいんだ」
「わかった」私は即答しました。「今、エプロンつけるからちょっと待って」
 実はHちゃんのお父さんからのメールには気づいていました。でも、ちょうど花火を見ている間に送られていたので、時間もたっているし、もう誰か行っただろうと思っていたのです。
 Hちゃんがお父さんのために私を呼びに来てくれた。大人として、これに応えなければと思いました。Hちゃんは、私ならお父さんを助けてくれると見込んで、助けを求めてくれたのですから。
「手伝いに来ましたよ!」

 そう言ってコモンキッチンに走り込むと、お父さんは驚き、そしてとても嬉しそうに笑ってくれました。

 この日のメニューはスープカレー。チキン、じゃがいも、にんじん、かぼちゃ、アスパラガスにエノキダケ、蓮根、ブロッコリー。たっぷりの野菜は全て素揚げし、ごはんにはレモンを搾る本格派。

 テキパキと働くお父さんと私を、Hちゃんはニコニコ見ていました。

 子供のいない私が子供と暮らす。親でも親戚でもない、同じハウスの住人として。そのことの意味は、正直まだよくわかりません。

 けれどもいつか、ここを出るとき、私はきっと思い出すでしょう。今夜のこと。Sちゃんと手を繋ぎ、みんなと一緒に見た花火の美しかったこと。Hちゃんに頼まれ、一緒に作ったスープカレーの美味しかったこと。一緒に過ごした時間の、とても豊かで楽しかったことを。




<選評>

「花火の夜のスープカレー」は、テンポや構成が良く、話し合いの末満場一致の選出でした。「私」はある夜、子どもたちとの交流を通じて自分が受け取ったものと差し出したものについて豊かな情緒を得るのですが、そのように自分の心と向き合える安定もまた、コレクティブハウスの暮らしから得られるもののひとつなのでしょう。大人が子どもを当たり前に尊重している様がわかるのも、子育て中のわたしにとってうれしいポイントでした。 (正会員 野口朋子)


<受賞者のコメント>
嬉しいです。この賞は花火メールをくださったTさん、一緒に花火を見てくれた四人のこどもたち、スープカレーを作ってくれたKさん、そして日々ハウスで生活を共にしてくれているみんな、私をコレクティブな生活に導いてくれたCHCの皆様、大家さんと一緒に取ったものです。ご褒美のお肉はミールで、みんなと一緒に頂きます。

 


【写真部門賞】004

コレクティブハウス聖蹟 大橋佳奈さん

写真部門賞

約5年前
生後1か月の赤ちゃんと白菜の大きさを比べる同い年の大人たち。

 






<選評>
この1枚にはたくさんのコレクティブのエッセンスが入っていると思いました。赤ちゃんと白菜を比べてしまうおじさん達の余裕の遊び心、こうやって大人に受け入れられるこどもの幸せな生活、大人と大人、こどもと大人、そして後ろに見えるツリーには人と空間の、それぞれの温かい結びつきが感じられた1枚でした。(正会員 船山眞理子)


<受賞者のコメント>
この度は第0回コレクティブの暮らし写真部門賞をありがとうございました!
この写真を撮ったとき息子はまだ生後20日位で、白菜よりも小さかったです。そんな息子も来年の春には1年生に!コレクティブの皆様にあたたかく見守られて大きくなりました。近いうちに同じ構図で写真を撮りたいと思ってます!




【絵画部門賞】001
「子どもはみんなの宝」


コレクティブハウス聖蹟 稲葉みつこさん

絵画部門賞









<選評>

お友達かしら、姉弟かしら、姉妹かしら、ハートが仲良しを表しているのかしら、ケーキに“らぶらぶ”しているハートかしら、不思議な雰囲気を漂わせた絵。じーとみていると、ほのぼのとしつつも真剣な表情は、実に印象に残る絵です。こんな風に被写体に愛情を注いだ絵が描ける人はきっと幸福度も高いのでしょう。写真では表せない絵の力が、そんなことを感じさせる1枚です。(監事 渡邉喜代美)



<受賞者のコメント>
1990年代に、公園デビューという言葉が流行りました。
ヨチヨチ歩きの子供を連れて公園に行き、そこにいるママさん達の仲間に入っていくのは悩みの多いものでした。
コレクティブの暮らしの中では、様々な年齢の人たちが周りにいて幸せなところです。




【文章・エッセイ部門賞】003
「忘れられない思い出」

 

コレクティブハウス聖蹟 インコさん

息子が小学1年時の学童の保護者会。
子供たちにアンケートを実施した用紙が配られた。
そこには、息子のご名答!!・・・
→続きはこちら



<選評>

「忘れられない思い出」は、何と言っても「ぼくは、ハウスにすんでいるからだいじょうぶ。」が決め手。そうです、コレクティブハウジングは「学童後の子どもの自立」という社会課題も、さらっと大丈夫にしてくれるのです。「ぼく」が「ハウス」を拠点に力いっぱい成長していく姿が浮かんできます。最強の説得力でした。(正会員 野口朋子)



<受賞者のコメント>
まさかの受賞にビックリしました。ありがとうございます。
コレクティブハウスに住む皆様が息子としっかり向き合い接してくださったことで、子供なりに親以外の大人のことも信頼できたからこそ出てきた言葉「ハウスに住んでいるから大丈夫」。
そんなステキな暮らしであることを伝えてくれた息子のエピソードをご紹介でき、選んで頂けたことを嬉しく思います。




【らぶ♡ふぁみ賞】写真部門010
「庭で水遊び」


コレクティブハウス聖蹟 ヤワタさん

らぶ♡ふぁみ賞2020年5月13日

なんてことない、陽光眩しい午後のひとコマ。
私は出産直後でおこもり生活中。世間では緊急事態宣言が発令され、子供たちも自粛生活を余儀なくされていた頃。子供たちの、そのありあまる体力をどう消化するのかは、おそらく各家庭で悩みのタネであったと思います。とにかく元気。でも、外出はできない。たまります。いろいろと。

そんな日々の中、ハウスの子供たちは庭でいわゆる3密を避けて水遊び。

先行きの見えない不安な生活が続く中、子供たちの笑顔、弾んだ声、いいお天気にホースの水でできた小さな虹。ほんのひとときだけど、さまざまな不安を忘れてほっとした瞬間の写真です。なにか示し合わせた訳でもなくハウスで起こる、なんてことない日常のありがたさを感じます。

 

<選評>

コロナ禍でも子どもたちが楽しそうで、思わず笑みが溢れる作品だと思いました。らぶふぁみではホームページに虹があるので、虹が目に留まりました。(外部審査員 らぶ♡ふぁみ)

 


<受賞者のコメント>
こどもがいるコレクティブの暮らしがどのようなものか、多くの方にぜひ伝えたいと目を皿のようにして過去写真を漁り、自分的に力作を出したつもりがどの作品も素晴らしくて。まさか受賞できるとは思っておりませんでした。
らぶ♡ふぁみ賞、誠にありがとうございます\(^o^)/
楽しい企画をありがとうございました!






【審査員より】

●今回の選考で改めて感じたことは、どの部門も総合的にコレクティブハウスの住人たちの感性度は高いなーということです。人の触れ合う面積が広いのでしょう。

コロナ禍は過酷な時代といえます。人と人を切り離そうとするずるがしこいウイルスです。

世界中の人たちを苦悩させるこのウイルスに負けることなく、楽しく、明らかなコモンを開いてほしいものです。楽しい時間をくださってありがとう。また次回を楽しみに。
(監事 渡邉喜代美)

●他の人と暮らすことは、時間や場所だけではなくて、体験や気持ちも一緒にすること。悲しいことは半分に、嬉しいことは増えていくのは素敵な人生だと思います。
(監事 小山訓久)


●「全員に賞をあげられないの?」渡辺さんの一言にみんなで頷きながら審査がスタート。作品が集まったことで、大人も子どもも互いに育ち合いながら暮らしている、そんなコレクティブハウジングのエッセンスが立体的に伝わってきました。
(正会員 野口朋子)


●昨今、他を受け入れられない社会や人々の余裕のなさに心をいためておりましたが、今回のどの作品にも、柔らかくそして自然体で人を受け入れるコレクティブハウスの人々や生活が見え、おおいに癒やされました。作品を寄せてくださった皆さま、作品に登場された皆さま、ありがとうございました。
(正会員 船山眞理子)

 


全応募作品はこちらから

【写真部門】

  • 001

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  • 002

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  • 003

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  • 004

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  • 005

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  • 006

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  • 007「ゲームしようよ」

    写真部門:007
  • 008「お手玉キャッチ大会@廊下」

    写真部門:008

  • 009「かき氷、絶対ぼくがつくるから」

    写真部門:009


  • 010「庭で水遊び」

    写真部門:010
  • 011「お菓子くれないと暴れるぞ。」

    写真部門:011

  • 012「ハウスで過ごす初めての週末」

    写真部門:012


  • 013「団子4人兄弟」

    写真部門:013
  • 014「ハロウィンキャット」

    写真部門:014

  • 015「仲直りは飴で」

    写真部門:015


  • 016「小さなフォトグラファー」

    写真部門:016
  • 017

    写真部門:017

  • 018「ハウスのばあば」

    写真部門:018


    • 019「before after」

      写真部門:019

【絵画部門】

「子どもはみんなの宝」




文章エッセイ部門】





006「ある居住者のコレクティブハウスヒストリー」








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